株式会社の資本金とは?いくらにすればよいかを解説

株式会社を設立する際、多くの起業家が直面する重要な疑問の一つが、「資本金をいくらに設定すれば良いのか」ということです。資本金の額は、会社の初期の財政状態を示すだけでなく、将来の成長潜在力や信頼性にも影響を及ぼす重要な要素です。本記事では、株式会社の資本金の意義と、その設定額をどのように決めるべきかについて詳しく解説します。資本金の最低限度額から、資金調達や企業運営におけるその役割まで、起業家や事業主にとって役立つ情報を提供します。

資本金とは

資本金とは、株式会社設立時に株主から調達される基本的な資金のことを指します。この資金は、会社の初期段階での運転資本や設備投資、人件費などに充てられ、事業を開始するための基盤を作ります。資本金の設定は、企業の財務状態を示す重要な指標であり、外部からの信頼性を高める要素ともなっています。

株式会社において資本金はさまざまな役割を果たします。まず、資本金は会社の信用力を示すもので、その額が大きいほど、企業は外部から高い信頼を得やすくなります。信用力は、銀行からの融資や投資家からの資金調達に直接影響を及ぼし、事業の拡大と成長に必要な外部資本を確保するうえで重要です。また、資本金は予期せぬ経営リスクや市場の変動に対して、一定の安全性を提供します。適切な額の資本金は、企業が経済的困難に直面した際のリスクを軽減し、事業の継続性を保証します。

日本の法律では、株式会社を設立するためには一定額の最低資本金が必要とされていましたが、2006年の会社法が施行後は資本金1円でも会社の設立が可能となりました。

参照元:

独立行政法人中小企業基盤整備機構

https://j-net21.smrj.go.jp/qa/startup/Q0021.html

資本金の額を決めるためのポイント

資本金の額を決める際には、事業計画と将来の資金需要を総合的に考慮することが重要です。事業の種類や規模、市場での競争状況、成長戦略などによって、必要な資本金の額は大きく異なります。例えば、大規模な設備投資や研究開発に多額の資金が必要な事業では、より高い資本金が望ましいでしょう。また、将来の拡大計画を考慮して余裕を持った資本金を設定することも、リスク管理の観点から有効です。

さらに、資本金の額は企業の信用力に直接影響を与えます。特に、新しい市場や顧客に対して、企業の信頼性を示すためには、適切な資本金の設定が不可欠です。銀行融資や外部投資を受ける際にも、資本金の額は重要な評価基準の一つとなります。したがって、資本金の設定は単に法的要件を満たすだけでなく、事業の将来に向けた戦略的な意思決定として捉えるべきです。

税金の観点から考えると、資本金は1,000万円未満に設定しておくとお得です。まず消費税は資本金が1,000万円未満の場合、設立から最大2年間は納付が免除となります(ただし、インボイス制度により適格請求書発行事業者へ登録した場合には、資本金1,000万円未満であっても納税義務が発生します)。また法人税の均等割も1,000万円以上は約18万円になるところ、1,000万以下の場合は約7万円に据え置きとなります。

ただし、業界によっては許認可を得ないと営業をスタートすることができない場合があります。この許認可の取得は資本金が一つの審査基準になっているケースがあり、たとえば、一般建設業許可を取得する場合は資本金500万円以上または預金残高500万円以上必要で、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上あることが一つの要件となります。

参考:

基準期間がない法人の納税義務の免除の特例|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6503.htm

総務省|地方税制度|法人住民税

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_08.html

独立行政法人中小企業基盤整備機構(J-Net21)

https://j-net21.smrj.go.jp/qa/startup/Q0094.html

建設産業・不動産業:許可の要件 – 国土交通省https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html

まとめ

資本金を設定する際には、複数の重要な要素を検討する必要があります。資本金の額は企業の信用力と直接関係しており、外部からの融資や投資を受ける上で重要な要素となります。また、資本金は企業のリスク管理への寄与や税負担にも影響を与えます。

結論として、資本金の設定は法的要件を満たすだけでなく、事業の長期的な成功を支える戦略的な意思決定であるべきです。事業の性質、市場条件、将来の拡大計画などを考慮に入れ、適切な資本金を設定しましょう。鈴木健志税理士事務所では、会社設立の際の資本金設定のアドバイスなども行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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