消費税の計算方法である簡易課税制度について

消費税の納税額を計算する方法は、原則課税と簡易課税という2種類の計算方法が挙げられます。
原則課税という方法は、売上に対する消費税額から経費に対する消費税額を差し引いた金額を納める方法です。
簡易課税という方法は、売上に対する消費税額のみで納税額を計算する方法です。
今回は、簡易課税の計算方法について解説していきます。

◆簡易課税制度について
簡易課税制度を適用する為には要件があります。
誰でも簡易課税を選択できるわけではありません。
簡易課税制度を適用するための要件は、下記2点を満たしている必要があります。

①基準期間の売上高が5,000万円以下である。
基準期間というのは、簡易課税の適用を受けようとする課税期間の2年前の課税期間になります。
簡易課税を選択しようとする場合には、2年前の売上高が5,000万円以下かどうかを必ず確認する必要があります。

②簡易課税の適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「簡易課税制度選択届出書」を税務署へ提出している。
簡易課税の適用を受けようとする場合には、適用を受けたい課税期間の前日までに「簡易課税制度選択届出書」を税務署へ提出している必要があります。

◆簡易課税による納税額の計算方法
簡易課税を適用する場合には、売上に対する消費税額をもとに納税額を計算します。
この納税額を計算するにあたり、売上を第1種から第6種に分け、各業種に適用されるみなし仕入率を売上に対する消費税額に乗じて納税額を計算します。
各業種のみなし仕入率は以下の通りです。
・第一種(卸売業)→90%
・第二種(小売業)→80%
・第三種(製造業)→70%
・第四種(飲食業など)→60%
・第五種(サービス業)→50%
・第六種(不動産業)→40%

これらのみなし仕入率を業種ごとに利用して、消費税の納税額を計算します。
小売業を営んでいる場合には下記算式によって納税額を計算します。

◆簡易課税のメリット・デメリット
簡易課税のメリットは、原則課税に比べて容易に消費税の納税額を計算することが可能です。
その理由は、簡易課税は売上高に対する消費税のみで納税額を計算することが可能で、経費に対する消費税を集計する必要がない為です。
したがって簡易課税を選択した場合には、事務負担軽減に繋がります。

一方で、簡易課税のデメリットとしては、消費税の還付を受けることが出来ない点が挙げられます。
したがって、建物や車両などの金額が大きい支払いがある場合、売上より経費が大きくなれば原則課税を選択していれば還付を受ける事が出来ます。
しかし、簡易課税を選択している場合には還付を受ける事が出来ませんので、簡易課税を検討している場合には必ず大きな支払いを予定しているかどうかを把握しておく必要があります。

◆まとめ
消費税の計算方法である簡易課税は納税額の計算が原則課税に比べて容易に行うことが可能です。
しかし、適用するには届出書の提出や、2年前の売上高が5,000万円以下といった要件が必要になります。
したがって、簡易課税の適用を検討している場合には是非とも弊所へご相談頂ければ幸いです。

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