役員報酬はいつ変更できるのか?実務上の手続きについて解説

役員報酬はいつでも変更できるわけではありません。
役員報酬を変更出来るタイミングは法人税法や会社法などの規定に従って変更する必要があります。
今回は役員報酬を変更出来るタイミングを解説することに加えて、実際に役員報酬を変更する場合にはどういった手続きが必要になるのか解説していきます。

◆役員報酬を変更する場合(3ヶ月以内の場合)
役員報酬を変更出来るタイミングは基本的には事業年度を開始した日から3ヶ月以内になります。
一般的には定時株主総会の日に役員報酬を改定します。
このように3か月以内の変更であれば役員報酬を全額損金算入することが出来ます。
事業年度開始から3ヶ月を超えて役員報酬を変更することも可能です。
しかし、3ヶ月を超えて役員報酬を増額した場合には、増額前の役員報酬の金額までしか損金算入することが出来ません。
すなわち増額分は損金不算入となります。

◆ 役員報酬を変更する場合(3ヶ月超の場合)
事業年度を開始した日から3ヶ月を超えて役員報酬を変更し、損金算入する事が出来るのか、という点については臨時的な事由であれば役員報酬を変更する事が認められています。
臨時的な事由とは、役員の退職や職制上の地位の変更、震災などの大きな災害が発生した場合が該当します。
その他、経営難により役員報酬の支給停止も臨時的な事由に含まれます。
臨時的な事由の場合でも臨時株主総会を開催し、議事録を作成しておく必要があります。

◆役員報酬を変更する場合の手続き
実際に役員報酬を変更する場合の具体的な手続きについて以下解説していきます。

①変更後の役員報酬の金額を決める
役員報酬を変更する場合、まずは変更後の役員報酬を決める必要があります。
役員ごとに金額を決定する方法や、役員報酬総額を株主総会で決定し、取締役会で役員ごとの内訳を決定する方法でも問題ありません。

②株主総会を開催するための準備
役員報酬を決めた後、株主総会を開催する為の準備を行います。
具体的には、株主総会の招集通知を行います。
招集通知は株主総会の場所、開催日時、議題などを明らかにして株主総会の2週間前までに発することが原則となります。
ただし、株主全員の同意がある場合には、株主総会の招集手続きを省略することも可能です。

③株主総会の開催による決議
役員報酬を変更する場合、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で決議する普通決議で決定します。
また役員報酬は定款で定めることも可能ですが、中小企業などの場合、定款に定めていない事が多く、一般的には株主総会の決議で変更する事が多いです。

④株主総会議事録の作成
役員報酬を変更する場合、株主総会で決議すれば完了というわけではありません。
株主総会の議題となる役員報酬の変更決議について株主総会議事録を作成し、保存することが重要になります。
株主総会議事録を作成していない場合や、当時作成しておらず、後になって作成したりする場合には、株主総会の決議事項について、証拠が不十分として、税務調査の際に役員報酬の損金算入を否認される可能性もあります。
したがって役員報酬変更をした場合には、株主総会の議事録は必ず作成しておく必要があります。

◆まとめ
以上が役員報酬を変更する場合における実務上の手続きになります。
役員報酬を期の途中で変更する事は認められていない事は認識されている方は多いと思います。
しかし、株主総会を開催し、議事録を作成する事まで認識しているかどうか理解している人はそれほど多いようには思いません。
税務調査があった際には株主総会議事録なども確認されるので、今回の記事を通じて事業者の皆様のお役に立てれば幸いです。
ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。

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