税務調査の流れと準備について
税務調査というと、事業者の皆様はどういったイメージをお持ちでしょうか。
一般的には、調査官が会社に来て資料を確認してきたり、税金を追加で払わされるなど、良いイメージはないかと思います。
ただし、税務調査の内容や一日の流れを理解しておけば、会社の会計や税務処理を無償でチェックしてくれるものととらえる事が出来ます。
今回はこの税務調査について解説していきます。
◆税務調査の種類
税務調査とは、任意調査と強制調査の2つに区分することが出来ます。
任意調査とは、税務署が納税者の協力があることを前提に行われる税務調査で、基本的には税務署から事前通知が行われるものになります。
例外として、事前通知がない場合もありますが、この場合には日程を変更することも出来るので、慌てずに顧問税理士へ相談することをおすすめします。
一般的に税務調査というと、この任意調査が該当します。
強制調査とは、国税局の査察部が裁判所の令状を持って、脱税を行なっている可能性が高い納税者に対し、強制的に行う税務調査になります。
強制調査の場合、査察部には強制的に経理書類を押収出来る権利があるため、納税者はこの調査を拒否する事が出来ません。
◆税務調査の流れ
税務調査の流れは下記の通りです。
①事前通知の連絡がくる
②顧問税理士と事前準備を行う
③税務調査の当日を迎える
④税務調査の結果報告を受ける
上記内容について、以下解説していきます。
①事前通知について、任意調査の場合、基本的には税務署から事前に税務調査を行う旨の通知が入ります。
過年度の税務申告書へ添付している税務代理権限証書に、納税者への事前通知について、当該税務代理人に対して行われることを同意する旨の記載がある場合、原則としてその税務代理人に連絡が入ります。
税務代理人は一般的に、顧問税理士になります。
②事前準備について、税務署から税理士へ税務調査の日時が指定されます。
ただし、調査日時については必ずしも指定された日程を受け入れる必要はありません。
予定が合わない場合には、別の日程で調整することも可能です。
任意調査の場合、基本的に過去3年分の調査が行われます。
事前準備として、調査対象期間の決算書一式と、会計帳簿である総勘定元帳、仕訳帳や経理関係書類である契約書、請求書、領収書などの書類を準備しておく必要があります。
③税務調査当日は、事前に決めた日時と場所に調査官が訪れます。
税務調査に要する日数は個人事業や規模の小さな会社の場合、1日から2日程度で終了します。
一方で、規模の大きい会社の場合、調査日数が3日から4日かかることもあります。
税務調査の際、専門的な質問については顧問税理士が応えてくれますが、経理処理や取引状況などについては会社側が直接回答する必要もあります。
④税務調査の結果について、税務調査終了後、税務署から調査の結果報告が後日行われます。
調査結果は、基本的には税務調査終了後2週間から3週間程度で通知されます。
税務調査の着地は、次のいずれかになります。
・申告是認:申告内容に問題がないケース
・修正申告:税務署から指摘をされ、会社側が指摘事項に基づき、自ら正しい内容で申告し直すケース
・更正:納税者が税務署から指摘を受けたものの納得できず、自ら修正申告をしない場合に税務署側が申告の誤りを正すケース
◆まとめ
今回も前回に引き続き、税務調査をテーマに解説しました。
前回は税務調査の対象になりやすいケースについて解説しましたが、今回は税務調査の種類と実際に税務調査となった場合の一日の流れを解説しました。
特に税務調査当日の流れを知っておくことは、当日に慌てないためにもとても重要になります。
税務調査はいつ来るのか分かりません。
したがっていつ来ても良いように、日頃からしっかりと税務調査を意識して準備しておきましょう。