法人設立前にかかった経費の取り扱い
会社を設立する前は、設立にあたりさまざまな経費が発生します。
たとえば、下記項目が代表的なものとなります。
・定款の作成費用
・登記時に発生する登録免許税など
・税理士や司法書士などへの報酬
・家賃や机などのオフィス周りの費用
・パンフレットや名刺などの印刷代
上記のような会社設立前に発生する費用が法人の経費として計上する事が出来るかという事をよく質問されます。
結論からいうと、条件を満たせば経費にできます。
詳しくは以下解説していきます。
◆法人設立前に個人で支出した経費について
法律上、法人が正式に「会社」として認められるのは、法務局に登記をした日からです。
そのため、それより前に支出したのお金は、基本的にこれから会社を作る人(発起人)である個人のお金を使ったものとされます。
これをそのままにしておくのは、法人の経費として処理できるものを経費にしないということになります。
そこで、法人の設立や事業を開始するための準備に使ったものであれば、会社設立後に、会社の支出として経費計上することができます。
◆法人設立前の経費の処理方法
法人設立前の支出を法人の経費にするには、以下のような方法があります。
① 開業費として処理する
たとえば、事務用品を買ったり、広告を出したりしたお金は「開業費」として会社の資産に計上します。
この開業費は、繰延資産といい、会社が好きなタイミングで少しずつ費用として計上することができます。
利益が多く出た年に多く費用にすることで、税金を抑えることも可能です。
② 創立費として処理する
定款の作成や登記、登録免許税、司法書士や税理士といった専門家への報酬など、会社を作るための費用は「創立費」として処理することができます。
これも開業費と同じように繰延資産なので、好きなタイミングで費用として計上することができます。
◆繰延資産を計上する上での注意点
開業費や創立費などの繰延資産を法人の経費として引き継ぐためには、下記条件を満たしている必要があります。
①領収書や契約書などの証憑書類があること
誰が何のために支払ったのかを明確にするために証憑書類が必要になります。
②会社設立後、法人が正式に「引き継いだ」という記録があること
発起人である個人が立て替えたお金を、会社が「この費用は会社を設立するための支出です」と認めていることが重要です。
③個人的な支出ではないこと
自分の飲食代、遊興費、プライベートな交通費などは、どんな理由があっても法人の経費に計上することはできません。
税務調査が入った場合、否認されるリスクがあります。
◆まとめ
会社を設立する前にかかった経費について、会社のために使ったものであれば、法人の経費として認められます。
ただし、その場合には領収書や請求書などの証憑書類をしっかりと残して、会社が正式に引き継ぐ必要があります。
せっかく支出した経費を計上しないのはもったいないので、これから法人設立を考えている方は是非弊所へご相談頂けると幸いです。