退職金・iDeCo受け取りは要注意!2026年から変わる「10年ルール」
退職金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)は老後の大切な資金源です。
ところが、2026年分の所得税から大きな制度改正が行われ、「受け取り方」によっては税負担が増える可能性があります。
特にiDeCoを利用している人、転職経験のある人、退職金を一時金で受け取る人は注意が必要です。
◆退職所得控除の基本
退職金には「退職所得控除」があり、(退職金-控除額)×1/2 で課税額を算出します。
控除額は勤続年数に応じ、20年以下は40万円×勤続年数、20年超は800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。
iDeCoや企業型DCの一時金も退職所得扱いとなり、退職金と同じく控除対象となります。
◆改正のポイント:5年ルール→10年ルール
現行制度では、退職金とiDeCo一時金の受け取りが「5年以上離れていれば」控除を二重で利用できます。
しかし、2026年からは調整対象期間が10年に延長されます。
つまり、iDeCoを受け取ってから退職金をもらうまで10年以上空けなければ、控除が重複適用されず税負担が増えるのです。
◆税負担の増加例
Aさん(55歳、勤続35年、iDeCo加入20年)が60歳でiDeCo800万円、65歳で退職金1,500万円を受給する場合を想定。
改正前は、控除で相殺され税額ゼロでしたが、改正後は控除が縮小され、課税退職所得450万円→税額約93万円が発生する可能性があります。
◆税負担を抑える3つの戦略
①10年以上空けて受給:iDeCo受給を60歳、退職金は70歳以降など。
②年金形式で受給:一時金ではなく分割受給にすれば調整対象外。
③専門家に相談:複数制度加入や転職歴がある人は特に要確認。
今からできる準備としては下記項目が挙げられます。
①勤務先の退職金制度とiDeCo加入状況を整理
②複数の受給シナリオで試算
③税制改正の最新情報を定期的に確認
◆まとめ
2026年からの「10年ルール」により、受け取りタイミング次第で税額が数十万円変わる可能性があります。
老後資金を守るため、今のうちに制度を理解し、受給戦略を立てることが重要です。
今回の記事で何かご不明な点がございましたら、是非弊社へご相談下さい。