赤字決算で法人税が戻る!欠損金の繰り戻し還付請求を徹底解説
◆はじめに
会社経営では、赤字決算となる年も少なくありません。
そんなときに活用できる制度が「欠損金の繰り戻し還付請求」です。
これは、当期の赤字(欠損金)を前期にさかのぼって黒字と相殺し、すでに納めた法人税を取り戻せる仕組みです。
資金繰りの改善や節税効果が期待できるため、中小企業にとって心強い制度といえるでしょう。
◆利用のための3つの要件
この制度を利用するには以下の条件を満たす必要があります。
①青色申告をしている中小企業者であること
資本金1億円以下(ただし大法人の完全支配を受ける場合は除く)などの中小法人が対象です。
②前期が黒字で法人税を納めていること
納付した法人税が還付の原資となるため、前期に利益が出ていなければ利用できません。
③当期が赤字で、期限内に申告すること
欠損金が出た事業年度の確定申告書と同時に還付請求書を提出する必要があります。
期限後申告では適用できません。
◆還付金額の計算方法
還付金額は次の式で求められます。
還付金額=前期の法人税額 × 当期欠損金 ÷ 前期所得金額
例:前期所得800万円、法人税額120万円、当期欠損金500万円の場合、還付額は120万円×500/800=75万円となります。
◆繰り戻し還付と繰越控除の比較
赤字活用には「欠損金の繰越控除」という選択肢もあります。
繰り戻し還付は即時に資金を得られる一方、繰越控除は将来の黒字と相殺でき、長期的な節税に有利です。
当面の資金繰り改善を重視するなら繰り戻し還付、将来の黒字が見込めるなら繰越控除を選ぶのが一般的です。
◆手続きの流れ
①必要書類を準備(繰戻還付請求書、法人税申告書、別表など)
②確定申告と同時に提出(期限後は不可)
③税務署の審査を経て還付金が入金(おおむね1〜3か月後)
◆適用できないケース
・設立初年度や青色申告承認を受けていない法人
・資本金1億円超の大企業
・期限後申告
・前期以前(2期前以降)の黒字との相殺
◆まとめ
欠損金の繰り戻し還付請求は、赤字を前期利益と相殺して法人税を取り戻せる制度です。
青色申告法人であり、期限内申告が必須など条件はありますが、中小企業にとっては資金繰り改善につながる大きなメリットがあります。
実際の手続きや還付額の試算は専門的な知識を要するため、ご不明な点がございましたら是非弊社へご相談下さい。