年末調整の概要と誤りやすいポイントを徹底解説!

はじめに

早いもので今年も残すところ1ヶ月となりました。
今回は経理担当者が年末に行う業務である年末調整について、解説していきたいと思います。
給与担当者は年末調整の作業が年に1度となる為、毎年どのように処理すればいいのか忘れてしまうこともあるかと思います。
そこで今回は、年末調整の概要と誤りやすいポイントについて紹介していきたいと思います。

年末調整とは

年末調整とは、一年間の本来納めるべき所得税を正しく計算する事を言います。
毎月の給料から差し引かれている源泉所得税は、個人の家庭環境などの事情は考慮しておらず、国税庁が作成した源泉徴収税額表に基づいて計算した概算額となっています。
そのため、本来納付すべき正しい所得税を計算し直す作業を年末調整と言います。

年末調整が必要となる人

会社などに勤務をしている人で、年末調整を行う必要がある人は下記内容に該当している人が考えられます。
・1年間会社に勤務している人
・年の途中に転職をし、年末まで会社に勤務している人
・年の途中で非居住者になった人
・死亡により退職した人
・心身の障害により退職した人
・12月に支給される給与等を受領して退職した人

年末調整における必要書類

①扶養控除等(異動)申告書の記載内容
扶養控除等申告書とは、親や子などを扶養している場合に扶養控除を受けるために必要な書類です。
扶養控除申告書の記載内容は下記項目が挙げられます。
・氏名及び住所等
・配偶者がいる場合には、配偶者の氏名や所得金額等
・扶養親族がいる場合には、扶養している親族の氏名や所得金額等
・16歳未満の子供がいる場合には、氏名や生年月日等

②保険料控除申告書の記載内容
保険料控除申告書とは、社会保険料控除や生命保険料控除などを受けるために必要な書類です。
記載内容は下記項目が挙げられます。
・契約している保険会社の名称
・保険の種類
・保険期間
・保険の契約者の氏名
・保険金の受取人の氏名
・保険料の支払金額
保険の種類には新制度と旧制度があり、いずれかによって控除額も変わってきます。
そのため、記載する上ではどちらの制度のものか把握しておく必要があります。

③基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書の記載内容
基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書は、基礎控除、配偶者控除、所得金額調整控除などの適用を受ける場合に記載が必要な書類です。
記載内容は下記の通りです。
・給料の収入金額
・給料の所得金額
2ヵ所以上から給料の支払いを受けている場合にはそれぞれを合算した金額を記載する必要があるため、注意が必要です。
基礎控除の額はこの合算した金額から算出する事が出来ます。

配偶者控除等申告書の欄に記載する内容は以下の通りです。
・配偶者の氏名、個人番号、生年月日
・配偶者の合計所得金額の見積額
これらの情報から配偶者控除の額を算出する事が出来ます。

所得金額調整控除の適用対象者は、給与収入が850万円超である人のうち、下記いずれかに該当する人になります。
・本人や同一生計配偶者または扶養親族が、特別障害者の場合
・23歳未満の扶養親族がいる場合

所得金額調整控除申告書の欄に記載する内容は以下の通りです。
・要件欄に示された4項目のうち、該当する部分にチェックします。
・上記要件欄のうち、同一生計配偶者または扶養親族に関する項目にチェックを付けた場合、扶養親族等欄に該当する同一生計配偶者または扶養親族の必要情報を記載します。
・上記要件欄のうち、特別障害者に関する項目である場合には、特別障害者欄に、特別障害者に該当する人の必要情報を記載します。
なお、上記4項目のうち、2項目以上に該当する場合、いずれか1項目にチェックを入れておけば所得金額調整控除の適用を受けることが出来ます。

扶養控除の誤りやすいポイント

扶養控除等申告書は、扶養控除の適用を受ける際に必要になる書類です。
扶養親族が16歳以上18歳以下または、23歳以上69歳以下の場合には38万円、19歳以上23歳未満の親族がいる場合には特定扶養親族として63万円の所得控除を受けることが可能になります。
しかし、控除対象扶養親族については年間収入が103万円以下でなければ扶養控除を受けることが出来ないため、従業員の子供がアルバイトなどで稼いだ給与が103万円を超えている場合には対象になりません。
よって、従業員は子供の収入を正確に把握しておく必要があり、実務では子供の収入が103万円を超えているのに、扶養控除の適用を受けているといったケースもしばしば見られるので、扶養親族の収入確認をしっかりとするようにしましょう。

住宅借入金等特別控除の誤りやすいポイント

住宅ローン控除の適用は、従業員が住宅を購入するためにローンをした年の2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることが可能となります。(1年目は確定申告するひつようがあります。)
住宅ローン控除の適用を受ける際に誤りやすいポイントとしては、従業員が住宅ローンの借り換えを行った場合に、年末残高の計算を誤るケースが多いので、注意が必要です。
借り換えを行った場合には、原則として新しい借入金については住宅ローン控除の対象とはなりません。
しかし、新たに借り入れた当初の借入金額が、最初に借り入れた当初の借入金額を上回っている場合には、年末残高の計算は次の算式で求めます。

➀新たな借入金の年末残高×②借り換え直前の当初の借入金残高÷③借り換えによる新たな借入金の当初金額

上記の計算を行わないと、住宅ローン控除の控除額が誤ってしまうので、注意が必要です。

配偶者や子などの家族分の保険料を本人が支払っている場合の誤りやすいポイント

家族分の生命保険料や個人年金保険料、介護保険料などを、本人が支払っている場合には、その本人の保険料控除として適用されます。
ただし、本人が他の家族分の保険料を支払っているだけでなく、保険金の受取人が、本人か、配偶者か、親族であること、個人年金保険の場合には、受取人は、本人か配偶者であることが条件になります。
家族分の保険料を支払っている場合には、保険料控除の適用を受けることができるので、忘れないように注意が必要です。

最後に

今回は、年末調整の概要と誤りやすいポイントについて解説しました。
年末調整の作業は年に一度で、何の為にするのか、何をすれば良いのか分からない人も多いです。
年末調整は給料に関わる非常に重要な業務となりますので、今回の記事を参考にして頂ければ幸いです。
ご不明点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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