完成工事原価と未成工事支出金の経理方法について解説

この記事では、建設業における経理処理の核心部分である「完成工事原価」と「未成工事支出金」について詳しく解説します。工事原価と一般管理費などの区別は、建設業の会計において非常に重要であり、これらを適切に分けて処理することが必要です。

工事原価は、工事が完成した時点でのみ費用に計上され、未完成の工事にかかる原価は未成工事支出金として処理されます。一方で、一般管理費などの費用は発生した時点で計上されます。この区分が不明確だと、税務調査で問題となる可能性があります。この記事を通して、これらの費用を適切に区分し、正確な会計処理を行うための基準と方法について理解しましょう。

完成工事原価とは

完成工事原価は、完成工事高に計上される工事の原価のことを指します。材料費・労務費・外注費・経費で構成されており、それぞれ正しく費用を算入することが大切です。

材料費
材料費は、工事に使用した材料の仕入れにかかった費用です。工事のために購入した材料や製品などが含まれます。一般的に、決算書の製造原価報告書に記載されている「材料費」をそのまま記載します。ただし、製造原価報告書に記載されている材料費は、「当期中の完成工事で純粋にかかった原価額」であるため、必ずしも完成工事原価における材料費と同額になるとは限りませんので注意しましょう。

労務費
労務費は、現場の作業員に支払う給料や賃金、手当などです。工事にかかる労働力を得るためにかかる費用であるため、アルバイトや正社員など雇用形態に関係なく、給料や賃金、手当は全て労務費に含まれます。ただし、現場代理人や現場事務所の事務員に支払う給料などは、労務費には含まれませんので注意してください。

外注費
外注費は、他社に工事を外注した際にかかった費用のことです。ただし、材料費などを自社で負担し、工事のみを外注した場合には、労務費の欄にある労務外注費に含めます。また、人員が足りないなどの理由で、他社に応援を依頼した場合にかかった費用も労務外注費に含まれることが一般的です。

経費
材料費・労務費・外注費に含まれない原価は、全て経費となります。重機の使用料や工事にかかった光熱費、現場代理人や現場事務所の事務員に支払う給料、保険料、警備にかかった費用などは全て経費です。経費に含めるべき費用を一般管理費に含めているケースが多いため注意しましょう。

各工事ごとに工事原価を集計する

工事原価は、各工事ごとに集計する必要があります。工事原価は、その工事が完成した時点において費用に計上されます。

つまり工事ごとにその原価を把握しておかないと、費用に落とすべき工事原価と未成工事支出金に計上すべき工事原価を区分することができません。材料費や外注費については区分することは難しくありませんが、労務費や経費などについては複数の工事にまたがることがありますので、その場合は各工事に金額をあん分する必要があります。各工事に金額をあん分する際の基準としては、各工事の請負代金や予算原価などを用いるのが一般的です。

未成工事支出金とは

未成工事支出金とは、まだ完成していない工事にかかった費用や支出を指します。未完成のものを売上として計上するわけにはいかないため、工事中の期末は資産として計上して、次期へ繰り越します。売上になる前のお金という意味で、工業簿記の「仕掛品」に相当します。

まとめ

建設業は、ひとつの工事が完成するまでに時間がかかることが多く、工事の完成前に決算期を迎えることもあるでしょう。そのため売上計上のタイミングなど、特殊な会計方法が多くあります。見慣れない勘定科目や仕訳の仕方をしっかりと理解して、建設業でも正確な会計処理を行いましょう。

鈴木健志税理士事務所では建設業に特化した税理士として、建設業のお客様の会計実績が豊富です。お気軽にご相談ください。

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