赤伝処理とは?建設業法違反にならないためのポイントを解説
赤伝処理についてよくわからないという人も多いのではないでしょうか。しかし、正しく理解しておかないと法律に抵触する恐れがあるので、注意が必要です。赤伝処理とはなにか、赤伝処理が違法となる事例、建設業法違反にならないために押さえるポイントなどについて解説します。
赤伝処理とは?
赤伝処理とは、請負契約を行った際に発注者側が請負業者側への代金支払いの一環として賃金から特定の費用を差し引くことを指します。この処理には、下請代金の支払いに関わる諸費用(例えば振込手数料など)、施工に伴う建設廃棄物の処理費用、その他の諸費用(例えば駐車場代や弁当のゴミ処理費用など)が含まれます。
一般的に赤伝処理自体は法律違反ではありませんが、適切な手続きと正当性が求められます。具体的には、請負契約の発注者側と請負業者側の間で協議と合意が必要です。この協議では、差し引く費用の内容と根拠を明確にし、請負業者に不当な負担がかからないようにする必要があります。このため、赤伝処理に関する内容は見積条件や契約書面に明記されることが一般的です。
さらに、協議や合意がない状態で不当に赤伝処理を行うと、下請法に抵触する恐れがあります。下請法では、下請業者の保護を目的としており、不当な赤伝処理はこれに反する可能性が高いため、発注者側はこの点に特に注意を払う必要があります。このように、赤伝処理は法的な問題を避けるためにも、双方の合意と透明性のある手続きが不可欠です。
参考:
下請法の概要 | 公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/gaiyo.html
赤伝処理で法律違反となるおそれがある場合
以下のような場合は赤伝処理で法律違反となる場合があります。
- 元請業者が下請け業者と合意なしに、一方的に提供又は貸与した安全衛生保護具等の費用、下請け工事の施工に伴い副次的に発生した廃棄物の処理費用、下請け代金を下請け業者の口座へ振込際の手数料等を下請け業者に負担させ、下請け代金から差し引いた。
- 元請業者が、廃棄物の発生がない下請け工事の下請け業者から、廃棄物処理費用の名目で、下請け代金から差し引いた。
- 元請業者が、工事のため自ら確保した駐車場、宿舎を下請け業者に使用させる場合に、その使用料として実際に係る費用より過大な金額を差し引いた。
- 元請業者が、元請下請間の責任の所在、費用負担を明確にしないまま、やり直し工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に下請け代金から減額することにより下請業者に負担させた。
参考:
建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100
まとめ
赤伝処理は、発注者側(元請業者)から受注者側(下請業者)に対して行われる手続きですので、元請業者は適切に建設業法を理解する必要があります。鈴木健志税理士事務所では、建設業特有の会計処理などに関してのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
免責事項
※当コラム内容は記事執筆時点の法令に基づいて作成しております。
※当コラムでは正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を必ずしも保証するものではありません。
※当コラムに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。