安全協力会費の消費税は課税か非課税かについて解説
安全協力会費の消費税区分について、ご存知でない方も多いのではないでしょうか。今回は、安全協力会費とはどういうものなのか、税の扱いについても国税庁による消費税区分の判断基準を安全協力会費と照らし合わせながら解説します。
安全協力会とは?
建設業界では、元請業者から下請業者等に対して、安全協力会費などの名目で徴収される金額があります。通常、安全協力会費は、安全に現場の施工を行うために、協力会社や下請会社等に、安全衛生意識の向上や技術などに関する研修等を行う目的で作られた元請業者の安全協力会に対する会費として徴収されています。安全協力費は、主に「建設業法」と「建設業法施行令」に法的根拠を持ちます。
参考:
厚生労働省:安全衛生協力会を中心に 趣向を凝らした活動を活発に展開
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/koujirei_04.pdf
建設業法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100
建設業法施行令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331CO0000000273
安全協力会費は課税となるのか?非課税となるのか?
安全協力会費の課税区分について、一般的に元請会社は運営のための会費、あるいは労災保険といった社会保険料に充てるという名目であり、非課税対象となります。
理由は、国税庁が「同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。」と明記しているためです。
参考:
会費や入会金の仕入税額控除(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6467.htm
したがって、安全協力会費が労災保険といった社会保険料に充てられた場合や会費とみなされた場合は、対価関係がないことになり課税仕入れにはあたらず、非課税対象となります。一方で、懇親会や研修会の費用として計上する場合は、対価関係があるとみなされ課税対象になる可能性もあります。しかし、懇親会や研修会に使用したとしても、元請会社は会費や保険料の名目で計上しますので、大抵の場合は非課税対象です。
ただし、場合によっては課税扱いになるケースもあります。具体的には、「モノやサービスの対価として支払いがあった場合」や「懇親会などの費用を負担した場合」などは課税扱いになる場合もあるので注意が必要です。
まとめ
基本的に安全協力会費は非課税扱いとなりますが、明白な対価関係がある場合には課税対象となるため注意が必要です。安全協力会費の使い道が不透明なため、実態がわからず不要ではないかと捉える方もいますが、建設現場では危険を伴う作業が日常的に行われています。そのため、元請と下請け業者が協力し合いながら、安全面に配慮して工程を進めていくことが大切です。
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