税務調査で見られやすいポイントについて解説
当記事では税務調査で見られやすいポイントについて解説します。建設業は税務調査が入りやすい業種とも言われています。当記事を読み事前に対策を立てるようにしましょう。
税務調査とは?
税務調査とは、公平・適正な申告納税制度を維持するため、国税庁が適宜行う調査をいいます。ある企業・個人の法人税・所得税の申告内容について、①売上額の計上に疑問がある、②必要経費が多過ぎではないかなどの疑念がある場合、それを確かめるために実施します。
なお、税務調査は、法人税や所得税の関係ばかりではなく、相続税や贈与税など広く税一般について行われます。実際の税務調査は、国税庁の機関である各税務署が実施しますが、必ずしも調査対象の企業や個人に直接行うものばかりではありません。調査対象企業や個人に直接行う調査の他に、市町村役場から戸籍関係書類や住民票を取り寄せる、法務局で登記簿情報を確認する、金融機関の口座情報を調べるなどの調査も含まれます。
参考:
税務調査手続に関するFAQ(国税庁)
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
税務調査で見られるポイント:売上と経費
売上と経費の関係では、それぞれの変化が不自然でないかについてチェックされます。これは、売上高の伸びに対して、必要経費が不自然に伸び過ぎていないかということです。売上高に対して必要経費が不自然に大きく増えている場合は、経費の水増しが疑われます。
また、売上高に占める必要経費の比率が、同業種の平均値などから大きく外れている場合は、その理由も質問されます。自社の経費が前年より大きく伸びている場合には、特別なイベントを実施した等の経費増加の理由について、しっかりと説明できるように準備しておく必要があります。
さらに、建設業の場合、工期が長期間に及ぶものも多い為、売上や経費の期ズレなども指摘されることが多い点と、税務調査では交際費もよく見られる点も意識しておきましょう。
税務調査で見られるポイント:人件費
人件費は、正社員、非正規社員両方のものが見られます。よくあるのが人件費の水増しです。労働者を雇用していないのに、給与や賃金を支給したことにしている、出張していないのに、出張したことにして出張旅費を支給したことにしている、残業していないのに、残業したことにしている等、帳簿上の所得を圧縮することをしていないかもよくチェックされます。
税務調査で見られるポイント:外注費
外注が多いことも建設業に税務調査が入りやすい理由の一つです。給与として対応すべきところを外注費として計上していないか等もチェックされます。給与とは、雇用契約に基づく労働の対価です。一方の外注費は、請負契約またはこれに準じる契約に基づく対価をいいます。
給与は、不課税取引として消費税がかからず、仕入税額控除の対象となりません。それに対し、外注費は、課税仕入取引として取り扱われるため、仕入税額控除ができます。また、給与を支払う場合は所得税を源泉徴収し、それを国に納めなければなりません。それに対し外注費は、基本的には所得税を源泉徴収する必要はありません。ただし、報酬の内容によっては源泉徴収が必要なものもあるので、判断については税理士に判断してもらうようにしてください。
外注は会社側に様々なメリットがあるため、本来は給与として支払うべきところを外注費として処理してしまっていないかはよく見られます。仮に、税務調査で、外注費として処理していたものが給与と認定されてしまうと、消費税や源泉所得税が追徴され、それに伴う加算金や延滞金も払わなければならなくなるため注意が必要です。
建設業における税務調査対策のポイント
まずは税務調査対策のポイントとして、最も重要なのは、毎年適切に申告を行うことです。その上で会社の各種帳簿や記録を整備することが基本となります。建設業法第40条の3では、建設業者は営業所ごとに、営業に関する事項を記載した帳簿を備え付けなければならないとされています。
また、工事台帳の整備、工事請負契約書・工事完了報告書・請求書の整備、外注契約書・請求書の整備、間接工事費を按分・振り分けるルール等の整備も行い、税務調査の際に、調査員の求めに応じて速やかに提出できる体制をとることが重要です。
参考:
建設業法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100
まとめ
税務調査は、国税庁が行う法人税や所得税の申告内容に関する調査で、建設業を含む様々な業種が対象となります。調査では、特に売上と経費の関係、人件費、外注費などに注目されます。
建設業における税務調査対策としては、正確な申告と帳簿の整備が最も重要です。工事台帳、請負契約書、請求書などの記録の整備と、間接工事費の適切な振り分けが必要です。これにより、税務調査の際に迅速に必要書類を提出できる体制を整えることが求められます。
当事務所では税務調査対応も行っております。建設業の税務でお悩みの方がいましたら、お気軽に鈴木健志税理士事務所までご相談ください。
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