一人親方・個人の建設業者の消費税について解説
一人親方や個人で建設業を営む方々にとって、消費税は事業運営上の重要な要素の一つです。この記事では、消費税の取り扱い、課税のしくみ、計算方法、申告手続きなどを詳しく解説します。
消費税の基本的なしくみ
消費税は、国内においてモノやサービスを購入した消費者に対して課される税金です。ただし、消費者が消費税を納めるのではなく、モノやサービスを販売した事業者が消費者から消費税を預かって国に納付するしくみになっています。なお、事業者は、モノやサービスの販売により預かった消費税を全額納めるわけではありません。事業者自身も消費者と同様にモノやサービスを購入して消費税を支払っていますので、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた残額を国に納めることになります。
また、消費税には免税の規定も存在します。年間売上が一定額以下の小規模事業者は、消費税の納税義務から免除される場合があります。これは、小規模な事業者に対する負担を軽減し、事業運営を支援するための措置です。
消費税制度は、国の財政における重要な収入源として機能しており、税率の変更や制度の見直しは経済全体に影響を与えることがあります。消費税は、国民一人ひとりの日常生活と密接に関わる税金であり、その仕組みを理解することは、個人の財務計画や事業運営においても重要です。
参考:
消費税のしくみ(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm
消費税はどんな仕組み?(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/aramashi/pdf/003.pdf
消費税の基本的な仕組み | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
https://j-net21.smrj.go.jp/accounts/tax_benefits/20130819_01.html
消費税の納税義務の判定
消費税の納税義務の有無は、三つの基準に基づいて判定されます。まず、前々年の売上が1,000万円を超えているかどうかが第一の基準です。この基準期間(前々年のことを基準期間と言います。)の課税売上高が1,000万円以下の場合、その事業者は消費税の免税事業者となります。特に、事業を始めたばかりの初年度や2年目は、前々年の課税売上高がないため、通常は免税事業者に該当します。
第二の基準は、事業者が自ら「課税事業者選択届出書」を提出しているかどうかです。この届出書を提出することで、前々年の売上が1,000万円以下であっても、自発的に課税事業者となることが可能です。この選択は、支払った消費税が預かった消費税を上回り、差額の還付を受けたい場合に特に有用です。ただし、免税事業者は還付を受けられないため、還付を希望する場合は課税事業者の選択が必要になります。届出は、還付が見込まれる年の前年末までに行う必要があります。また、課税事業者選択届出書を提出した場合、提出した年の翌年度と翌々年度の2年間は課税事業者として縛りがある点も注意が必要です。
最後の基準は、前年の1月1日から6月30日までの期間における売上または給与が1,000万円を超えているかどうかです。もし2年前の課税売上高が1,000万円以下であっても、この特定期間(前年1月1日から6月30日までの期間を特定期間と言います。)の売上または給与が1,000万円を超えると、免税事業者の資格は得られません。逆に、この期間の売上または給与が1,000万円以下であれば、免税事業者として扱われます。これにより、年間の売上動向に応じて、事業者の消費税の納税義務が変動することになります。
参考:
納税義務の免除(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
特定期間の判定(国税庁)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/22/10.htm
消費税の申告・納付期限
個人事業主の消費税申告書の提出期限の納付期限は、毎年3月31日です。確定申告の提出期限、所得税の納付期限が3月15日なので、それよりも若干後になります。しかし、実際は、確定申告と同時に消費税申告書を提出して、所得税と消費税を同時に納付することが多いです。
参考:
税金の納付(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/10.htm
まとめ
一人親方、個人の建設事業者の方は消費税のことも考えて事業をしていかなければいけません。鈴木健志税理士事務所では、一人親方、個人の建設事業者の方の確定申告や税金のサポートなども行っていますので、お気軽にご相談ください。
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