法定調書の基礎知識について徹底解説!
◆導入
年末になると行うべき作業として、年末調整だけでなく法定調書の作成があります。
法定調書を提出期限内に提出しない場合や虚偽記載がある場合、ペナルティーとして1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
今回はこの法定調書について、その種類や注意点を解説していきます。
◆法定調書とは
法定調書とは、所得税法や相続税法などの法律によって、作成が義務付けられている書類をいいます。
法定調書の種類として60種類あり、主に給料、報酬、不動産に関する支払いなどが発生した場合に作成する必要があります。
法定調書は毎年1月31日までに管轄の税務署へ提出する必要があります。
法定調書を作成する目的は、脱税防止が理由とされています。
会社が個人事業主へ報酬を支払った場合、支払調書を作成します。
この支払調書は60種類ある中の法定調書のうちの1つとなります。
個人事業主は確定申告の際に、この支払調書をもとに確定申告を行いますが、支払調書に記載された金額と、個人事業主が確定申告した金額が一致していれば正しく申告・納税を行なっていると判断出来ます。
しかし、支払調書の金額と確定申告した金額とに不一致があれば、正しく確定申告しておらず、税務署からのお尋ねや税務調査により、その不一致である原因を問われることになります。
このことから法定調書を作成する目的は、脱税を把握する事になります。
◆法定調書の種類
法定調書は各法律で多く規定されておりますが、主な法定調書は所得税法に規定されている以下6種類となります。
・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・不動産の使用料等の支払調書
・不動産等の譲受けの対価の支払調書
・不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
①給与所得の源泉徴収票
従業員を雇用している場合、その年において各従業員へそれぞれいくら給与を支給したのか把握出来る書類になります。
この書類は役員か平社員であるかどうか、年末調整を受けているかどうかなど、税務署への提出も必要になるケースがあります。
②退職所得の源泉徴収票
退職金の支払いをしている場合、作成する書類であり、給与所得同様に一定金額を超えていれば税務署への提出が必要となります。
なお、死亡により退職金を支給した場合には、相続税法における退職所得の源泉徴収票に該当する為、所得税法における退職所得の源泉徴収票ではない点に注意が必要です。
③報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
個人事業主への外注費や士業などに報酬を支払っている場合に作成が必要となる書類です。
この外注費については所得税法に規定された内容の支払いであれば作成が必要になりますが、所得税法に規定されていない外注費の場合、作成する必要はありません。
この支払調書については、年間の支払金額が5万円を超えた場合に提出が必要となります。
④不動産の使用料等の支払調書
事務所や駐車場など不動産に関する家賃の支払いがある場合、作成すべき書類となります。
こちらは年間の支払金額が15万円を超えている場合には税務署への提出が必要になります。
⑤不動産等の譲受けの対価の支払調書
店舗や土地などの不動産を購入した場合に、作成が必要になってくる書類です。
提出が必要になる要件としては、年間の支払金額が100万円を越えているかどうかで判定します。
⑥不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産の購入や貸付けによるあっせん手数料を支払っている場合に作成する書類になります。
提出が必要になる要件は、年間の支払金額が15万円を超えた場合に提出する必要があります。
◆法定調書の注意点
①未払金額の記載
報酬などの支払調書を作成時において、未払金額がある場合には、未払金額についても支払調書へ記載する必要があります。
②税込金額で記載
源泉徴収は報酬の税抜金額と消費税額を別途記載している場合には、税抜金額に対して源泉徴収を行なう事が認められておりますが、支払調書に記載する金額は消費税額を含めた税込金額で記載する必要があります。
◆まとめ
法定調書とは60種類のものがあり、規定している法律も所得税法や相続税法などいくつかの法律に規定されています。
年末に近づくと年末調整だけでなく、法定調書の作成も行う必要があるので、年間で支払った給料や報酬、不動産関係の支払いがある場合には準備をしておく必要があります。