仮想通貨を所有している人が行う確定申告について

◆はじめに
近年、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を利用した取引がより身近となってきています。
仮想通貨により得た利益は雑所得として確定申告を行う必要があります。
本稿では仮想通貨によって得た利益を雑所得として確定申告するにあたり注意すべき点について解説していきます。

◆仮想通貨によって得た利益の確定申告とは
仮想通貨によって得た利益については、雑所得に該当します。
所得の種類によって、納めるべき所得税の金額や計算方法が異なる為、以下では雑所得の特徴について解説します。

雑所得とは、10種類の所得のうち、いずれにも該当しない所得は全て雑所得として扱われます。
具体的なものとしては、副業による収入、公的年金による収入、そして仮想通貨によって得た収入が代表的なものとして挙げられます。
雑所得の他に、給与所得があるサラリーマンなどの場合には、合計所得金額が20万円超であれば確定申告が必要になります。
また、給与所得がない個人事業主などの場合、基礎控除額である48万円を雑所得を含めた所得額が超えていれば確定申告が必要になります。
雑所得の特徴を解説するにあたり、一時所得や事業所得と比較して解説したいと思います。

雑所得と似て非なるものとして、一時所得が挙げられます。
一時所得に該当するものとしては、下記要件を満たしているものが一時所得に該当します。
・一時的な所得であること
・営利目的とした継続的な所得ではないこと
・労働の対価ではないこと
・譲渡による対価ではないこと
一時所得とは、臨時的に発生する一時的な所得をいい、具体的なものとして、保険の満期返戻金、競馬や競輪の払い戻し金、賞金などが挙げられます。
一時所得の特徴は、他の所得と損益通算をする事が出来ません。
そのため、一時所得で発生した赤字を、一時所得以外の他の所得の黒字と相殺することは出来ません。
しかし、同じ一時所得内での損益通算を行うことは可能になります。
雑所得も一時所得と同様に、他の所得との損益通算は出来ません。
雑所得と一時所得の大きく異なる点は、一時所得の場合、営利目的の所得や業務に関わる所得が含まれないことが挙げられます。

雑所得か否か判断するにあたり、事業所得に該当するかどうかの問題が挙げられる場合も考えられます。
事業所得とは、卸売業、小売業、製造業、サービス業などを行っている場合に、これらの事業に伴い発生する収入については事業所得に該当します。
雑所得について、令和4年8月に公表された「所得税基本通達の制定について」の一部改正より、収入金額300万円で、事業所得か雑所得かの判断をしようとしました。
しかし、これに対して副業を推進する政府の方針に逆行するもの、所得区分の判定については実態を見て判断すべきであり、形式的な基準を設けるべきではないなどといった意見がありました。
これにより、事業所得に該当するかどうかの判断は、会計帳簿の記録を行い、請求書や領収書などの根拠資料や作成された会計帳簿を保存していることによって、事業所得に該当する可能性が高くなることが決まりました。
事業所得に該当した場合、雑所得では受ける事が出来ない税制優遇措置として、青色申告特別控除が挙げられます。
この青色申告特別控除とは、事前に青色申告承認申請書を提出し、複式簿記により会計帳簿を作成していれば10万円、55万円、65万円の控除を受けることが出来るというものになります。
また、事業所得の場合には損益通算といって、他の所得から生じた赤字部分を、黒字が発生している所得と相殺する事が出来る優遇措置も適用出来ます。
これらの優遇措置は、雑所得では受ける事が出来ない為、事業所得で確定申告をした方が節税メリットが高くなります。

◆仮想通貨で発生した利益の計算方法
仮想通貨を売却した場合、利益の計算方法は「売却金額−(取得単価×売却数量)」の差額が利益になります。
例えば仮想通貨5枚を売却金額1,000万円として、取得単価100万円である場合の計算式は以下の通りです。
1,000万円−100万円×5枚=500万円
上記より、仮想通貨の売却による利益は500万円になります。

仮想通貨の取得単価は、税務上において「総平均法」か「移動平均法」で計算する必要があります。
これらの計算方法は下記の通りです。

①総平均法
総平均法とは、仮想通貨を年間で取得している際に、その年間で購入した金額を購入数量で計算する方法になります。

②移動平均法
移動平均法とは、年間で何回か取得した際に、その購入時点で取得金額を計算する方法になります。

上記計算方法について、具体的な金額を用いて以下ご紹介します。
前提条件は下記になります。
・仮想通貨2枚を5,000円で購入。
・仮想通貨3枚を6,000円で購入。
・上記仮想通貨2枚を10,000円で売却。
・仮想通貨5枚を20,000円で購入。
・上記仮想通貨3枚を30,000円で売却。

上記前提条件を総平均法で計算した場合、以下の通りです。
売却価額:10,000+30,000=40,000円
取得単価:(5,000+6,000+20,000)÷10枚=@3,100円
売却益:40,000円−3,100円×5枚=24,500円
よって総平均法で計算した場合の仮想通貨を売却したことによる利益は24,500円になります。

上記前提条件を移動平均法で計算した場合、以下の通りです。
売却価額①:10,000円
取得単価①:(5,000円+6,000円)÷(2枚+3枚)=@2,200円
売却益①:10,000円−2,200円×2枚=5,600円

売却価額②:30,000円
取得単価②:((2,200円×3枚)+20,000円)÷(3枚+5枚)=@3,325円
売却益②:30,000円−3,325円×3枚=20,025円

上記売却益①+②=25,625円になります。

よって、総平均法による利益が24,500円に対して、移動平均法による利益は25,625円になり、総平均法により計算した方が納税額としては小さくなります。

◆法人が仮想通貨を所有している場合の改正点
税制改正により、法人税法における期末時における時価評価の適用範囲が変更されることになります。
これまでは、法人が保有する仮想通貨は期末において、市場価額と帳簿価額の差額に基づいて評価損益を計上していましたが、今回の改正によって、仮想通貨を継続的に保有している場合には、時価評価を行う事が不要になります。
結果として、法人が仮想通貨を所有している場合に課税されるのは、売却した際に生じた利益に対してのみ課税されることになります。
これは個人が仮想通貨を所有している場合と同様の取り扱いに変更される事になります。

◆まとめ
仮想通貨を所有している場合に、確定申告ではどのように利益が計算するのかといった内容を中心に解説しました。
仮想通貨を所有している場合には、雑所得として確定申告を行う必要があります。
ただし、仮想通貨を売却した際に利益が発生した場合に確定申告を行えば良く、期末時における含み益に対しては確定申告は必要ありません。
利益の計算方法も、総平均法や移動平均法がある為、それぞれの方法で計算して有利な方を選択すれば良いかと思います。
今後、仮想通貨による取引は更に増加すると考えられるので、是非本稿が参考になれば幸いです。

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