納付書の事前送付取りやめについて
国税庁は令和6年5月以降に送付する分の納付書について、納付書の事前送付を取りやめることとしていることをご存じでしょうか。
国税庁は、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指して、事務負担の効率化と行政コスト抑制の観点から納付書の事前送付を取りやめることが決定しました。
今回は、この納付書の事前送付取りやめについて解説していきたいと思います。
◆納付書が事前に送られてこなくなる事業者
上述した通り、令和6年5月より納付書の事前送付が取りやめになりますが、全ての事業者が対象になるわけではありません。
納付書が届かなくなる事業者は、下記ケースに該当する場合に納付書が届かなくなります。
・e-taxにより申告書を電子申告で提出している法人
・e-taxにより申告書を電子申告で提出する事が義務化されている法人
・e-taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望した個人の方
・「納付書」を使用しない次の手段により納付している法人、個人の方
①ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
②振替納税
③インターネットバンキング等
④クレジットカード納付
⑤スマホアプリ納付
⑥コンビニ納付(QRコード)
このように全ての事業者に対して納付書が届かなくなるわけではなく、下記事業者は引き続き納付書が送られてきます。
・e-Taxを利用しておらず、税務署から送付された納付書で納付している事業者
・源泉所得税や消費税の中間申告が発生する事業者
◆納付書を利用しない場合の納付方法
納付書を利用せずに納付する方法について、国税庁が推奨している納付方法は、「ダイレクト納付」による納付になります。
ダイレクト納付の場合、インターネットバンキングによる契約が不要であり、面倒な事務負担を行う必要がない為です。
ただし、ダイレクト納付を利用する場合には、事前にダイレクト納付を利用する為の届出書を管轄の税務署へ提出する必要があります。
このダイレクト納付届出書をオンライン提出する場合には、1週間程度で利用可能になります。
しかし、書面で提出をした場合にはダイレクト納付を利用するまでに1ヶ月程度、時間がかかってしまいます。
ダイレクト納付による納付以外には、下記方法による納付も可能です。
・インターネットバンキングによる納付
インターネットバンキングによる納付は、事前準備として、インターネットバンキングを開設し、e-taxの利用開始手続きが必要になります。
インターネットバンキングによる納付は、対象税目の申告完了後、e-taxのメッセージボックスに受信した申告データの納付区分番号が通知されますので、この情報をもとにインターネットバンキングを利用して納付が可能になります。
インターネットバンキングによる納付は、手数料が不要な点はメリットとして挙げられますが、領収書は発行されないので、領収書が必要な場合、インターネットバンキングによる納付はお勧めしません。
・クレジットカード納付
クレジットカード納付を利用する場合には、申告が既に完了した確定申告書と利用するクレジットカードが必要になります。
上記資料の準備が出来ましたら、国税庁ホームページの「国税クレジットカードお支払サイト」から納付手続きを行う事が可能になります。
クレジットカードによる納付は、クレジットカードによるポイントが付与されますが、手数料が発生します。
手数料については納付税額によって、変わります。
手数料は下記URLをご参照ください。
※「国税庁 クレジットカード納付の手続」引用
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/index.htm
・その他の納付方法
インターネットバンキングによる納付やクレジットカードによる納付の他、振替納税や、スマートホンアプリから納付する方法なども挙げられます。
このように納付書による納付以外で納付できるキャッシュレス納付の方法はいくつかありますが、それぞれのメリットやデメリットなどを検討したうえで、ご自身で納付しやすい方法を選択する事をおすすめします。
◆まとめ
今回の記事は、納付書の事前送付が令和6年5月以降、中止されることについて解説をしました。
納付書の事前送付の取りやめとなる事業者は、電子申告している事業者が対象となります。
よって、電子申告ではなく、確定申告書をこれまで書面提出している事業者は、今後も納付書は税務署から事前に送られてくることとなります。
また、既にキャッシュレス納付などで納付をしている事業者はこれまで同様にキャッシュレス納付を利用するのであれば、大きな影響はありません。
今後も納付書送付を希望する場合は書面で確定申告書を提出し、書面提出をしないとなると、予定納税の管理は納税者自身で行うか、顧問税理士に管理してもらう必要があります。
今後はキャッシュレス納付を推奨していることから、今回を契機に、キャッシュレス納付を行うことをおすすめします。