会社倒産時に必要な税務手続きとは
事業経営をしている場合、年に一度、決算作業が必要になります。
事業が順調に進んでいれば、問題ないですが、経営がうまくいかずに倒産の危機に陥ってしまう可能性が高くなると、税理士へ顧問料を支払う事も厳しくなります。
会社を倒産するにあたり、どういった手順で税務申告書を作成すれば良いのか、倒産時にすべき税務手続きについて紹介したいと思います。
◆解散について
解散とは、会社がこれまで実施してきた事業をやめ、法人格を消滅させる事を言います。
法人格を消滅させる為には、事業活動をやめただけでは消滅せず、「清算手続き」を行う必要があります。
以下では清算手続きを行うことによるメリットとデメリットについて解説していきます。
◆清算手続きのメリット
上述したように、清算手続きを行わなければ法人格を消滅させる事は出来ません。
清算手続きを実施した場合のメリットとして、下記内容が挙げられます。
・決算作業が不要になる
・納税が不要になる
・役員登記などの登記手続きが不要になる
清算手続きを行うことにより、上記作業が不要になるので、事務負担が軽減されます。
◆清算手続きのデメリット
清算手続きを実施した事によるデメリットは、次の通りです。
・清算手続きを実施することによって、税理士や司法書士などの専門家報酬が発生する
・資産を所有している場合、売却により発生する消費税の納付が必要になる
・清算時における債権債務の清算が必要になる
◆会社の清算とは
会社倒産時において、事業をやめれば法人格が消滅するということにはなりません。
通常、会社が倒産した場合、株主総会の特別決議を行い、清算となります。
株主総会において、議決権を行使できる株主の過半数以上が出席し、そのうち議決権の3分の2以上の賛成を得ることによって、清算ということになります。
その後、会社が清算した旨の登記などが必要になります。
会社を清算した場合に必要な手続きについて解説していきます。
◆解散・清算による手続きとは
会社が解散・清算した場合における必要な手続きは、下記流れになります。
・株主総会の解散決議
・解散、清算人の登記
・各機関へ解散した旨の届出書の提出
・財産目録、貸借対照表の作成
・債権者保護の手続き
・解散事業年度における決算書の提出
・残余財産の確定と分配
・清算事業年度における決算書の提出
・清算結了の登記
・各機関へ清算した旨の届出書の提出
上記手続きを完了することによって、会社を解散・清算することが出来ますが、全て完了するまでに、およそ2ヶ月以上の期間は必要になってきます。
上述した中で、債権者保護の手続きを行う方法として、「官報公告」と「個別催告」があり、官報公告をした場合には最低でも2ヶ月以上の期間を、債権者に対して会社が解散した旨を申し出ている必要があります。
実務においては、決算書の作成や残余財産の分配などを考慮すると、およそ清算までには4ヶ月程度の時間がかかるのが一般的です。
◆会社を解散した時に発生する費用
会社を解散した場合、解散時に発生する費用は下記のようなものが考えられます。
・官報公告を行う為の費用
・登録免許税
・税理士や司法書士などに対する専門家報酬
・その他の諸費用
債権者保護手続きを行う際に、官報公告時にかかる費用は32,000円程度となります。
また、登録免許税は清算人の選任登記をする際に39,000円、清算結了を登記した場合に2,000円が必要になります。
専門家報酬とは、解散時において司法書士へ登記手続きを依頼する際にかかる報酬や、税理士へ税務申告書の作成を依頼する際にかかる報酬が挙げられます。
その他の諸費用としては、株主総会を行うにあたり、開催場所を借りる際に発生する家賃など状況に応じて追加費用が必要になります。
◆まとめ
会社を解散・清算する場合に必要な手続きについて解説しました。
法人格を消滅させる為には、解散・清算手続きを行う必要があり、解散・清算手続きは登記事項となります。
その為、解散・清算時には司法書士や税理士などの専門家へ依頼必要があります。
現在、解散・清算を検討している方でお困りの事がございましたら、是非弊所までお気軽にご相談下さい。