消費税における簡易課税制度の注意点
前回の記事では、消費税を計算する方法として簡易課税について紹介しました。
今回は簡易課税の注意すべき内容について解説したいと思います。
◆簡易課税の注意点とは
簡易課税を選択した場合、消費税を計算するにあたり注意するポイントがいくつかあります。
以下では簡易課税を選択している事業者が気を付けたい内容を紹介します。
①製造と加工のどちらに該当するか
材料を自身で準備しているかどうかによって、簡易課税の業種区分が異なります。
・材料を外部から支給されている場合には、その材料を加工していると考えられ、第四種事業に該当します。
したがって、みなし仕入率は60%になります。
・材料を自身で準備して製造や加工している場合には、第三種事業に該当します。
したがって、みなし仕入率は70%になります。
②固定資産の売却をした場合
建物や車両などの固定資産を売却した場合、事業内容に関わらず、第四種事業に該当します。
したがって、みなし仕入率は60%になります。
③取扱商品を事業者と消費者のどちらへ販売しているか
取扱商品を販売している場合、事業者と消費者のどちらに販売したかによって簡易課税における業種区分が異なります。
法人などの事業者へ販売している場合には、第一種事業に該当し、みなし仕入率が90%になります。
消費者へ販売している場合には、第二種事業に該当し、みなし仕入率は80%になります。
販売先が事業者なのか消費者なのかは注意が必要です。
④簡易課税は2年間の強制適用になる
簡易課税を適用した場合には2年間強制適用になります。
そのため、簡易課税を検討している場合には2年間は強制適用になる事を認識しておく必要があります。
⑤事業区分を正しく管理していない場合
簡易課税における業種区分を2種以上行っている場合には、それぞれ正しく業種区分を設定する必要があります。
上記区分を正しく管理していない場合、最も低い区分のみなし仕入率を適用する事になってしまいます。
⑥複数の業種を営んでいる場合、1つの業種の課税売上高が75%以上の場合
複数の業種を営んでいる場合、そのうち1つの業種の課税売上高が全体の75%以上を占めていれば、その業種区分のみなし仕入率を全体の課税売上高に対して適用することが可能です。
◆まとめ
簡易課税を採用した場合に注意すべきポイントをご紹介しました。
簡易課税制度を採用した際に実務上、多く見られる間違いとして、業種区分の誤りなどが挙げられます。
また、簡易課税を採用した際、2年間は簡易課税を強制適用すべき点を認識していない事業者も多く見受けられます。
簡易課税を採用した場合、計算する上では原則課税に比べて事務負担が軽減されますが、大きな支払いがあっても消費税の還付を受けることが出来ません。
したがって、簡易課税の適用を検討している場合には是非弊所へお気軽にご相談下さい。