法定調書とは何の為に提出するのか
皆様は法定調書という書類があるのをご存知でしょうか。
法定調書とは、所得税法や相続税法で提出が義務付けられている書類であり、毎年1月31日までに管轄税務署へ提出が義務付けられている書類になります。
今回はこの法定調書の概要を解説するとともに、なぜ提出する必要があるのか、どういった人が提出すべきなのかを紹介します。
◆法定調書とは
法定調書とは、税務署がお金の流れを把握することを確認する為の資料になります。
所得税法や相続税法で規定されている法定調書は現在、63種類あります。
法定調書の主なものとしては下記内容のものが挙げられます。
①給与所得の源泉徴収票
1年間で会社が従業員へ支払った給料や賞与、源泉所得税などが記載されている資料です。
②退職所得の源泉徴収票
従業員が退職した際、退職金を支払った場合に退職金や源泉所得税が記載されている資料になります。
③ 報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書
個人や法人へ外注費として報酬を支払った際に、報酬額や源泉所得税などが記載された資料になります。
④ 不動産の使用料等の支払調書
不動産などを賃借している場合、その賃借料を支払った際に作成する資料になります。
主に家賃、権利金、更新料などが記載されます。
⑤ 不動産等の譲受の対価支払調書
不動産などを購入した場合に作成する資料になります。
記載内容は、物件の所在地や購入金額を記載します。
⑥ 不動産等の売買又は貸付の斡旋手数料の支払調書
不動産の売買や貸付の斡旋手数料を支払った場合に作成する資料になります。
斡旋した者の氏名や支払金額を主に記載します。
◆法定調書は何の為に提出する必要があるのか
法定調書は何故提出する必要があるのか疑問に思う人が多いと考えられます。
所得税申告書や法人税申告書とは異なり、税額を計算する訳では無いので、提出しなくても問題ないと思う人もいるかもしれません。
しかし、法定調書は非常に重要な役割を果たしているので提出が必要になります。
例えばA社はXさんに年間100万円を支払ったと仮定します。
この場合、A社はXさんに対する支払調書として100万円を作成して税務署へ提出します。
一方でXさんも100万円の収入があったので確定申告をします。
ここでXさんが50万円しか確定申告をしていないとなると、税務署はどちらかが間違っているとして、税務調査などを行い検証する事が出来ます。
したがって、この法定調書は脱税などを防止する事ができる非常に重要な役割を果たしている事がわかります。
◆どういった人が法定調書を提出すべきか
法定調書を提出する必要があるものは、上述した法定調書の種類によって提出要件が異なります。
例えば、給与所得の源泉徴収票の提出要件は下記の通りです。
・役員…150万円を超えて支払われた給与等
・弁護士、司法書士、税理士等…250万円を超えて支払われた給与等
・その他…500万円を超えて支払われた給与等
退職所得の源泉徴収票の場合、受給者が法人の役員である場合に提出する必要があります。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の場合、1人あたりの報酬が年間5万円を超える場合に提出する必要があります。
不動産の使用料等の支払調書の場合、同一人に対する1年間の不動産賃料の支払いが15万円を超える場合に提出が必要になります。
不動産等の譲受けの対価の支払調書の場合、同一人に対する1年間の支払金額が100万円を超えた際に提出が必要になります。
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書の場合、同一人に対する1年間の支払金額が15万円を超えていれば提出が必要になります。
◆まとめ
今回は法定調書について、法定調書がどういった内容のものなのか、提出する理由は何なのか、提出する必要がある人はどういった人が該当するのかにスポットを当てて解説しました。
この法定調書は毎年1月31日までに提出する必要があるので、期限内に提出する事を忘れずに行いましょう。
何かご不明な点等ございましたらお気軽に弊所へご連絡頂けますと幸いです。