交際費の上限額の変更について

今回は令和6年度税制改正によって、変更された交際費についてご紹介したいと思います。
この税制改正によって、具体的に何が変わったのか、実務上の注意点についてご紹介したいと思います。

◆税制改正による交際費の変更点について
令和6年度の税制改正によって、交際費の上限額がこれまでは1人当たり5,000円だったものが、1人当たり10,000円に変更となりました。
具体的には、令和6年3月までにかかった交際費については1人当たり5,000円以下であれば会議費として処理をし、5,000円を超えてしまう場合には交際費として処理する必要があります。
今回の税制改正では、令和6年4月以降は1人当たり10,000円以下であれば会議費として処理をし、10,000円を超えてしまう場合には交際費として処理をする必要があります。
なお、この1人当たりの金額判定について、消費税の納税義務者であれば採用している経理方式が「税込経理」か「税抜経理」のいずれか選択をしている為、「税込経理」を採用している場合には、税込10,000円で判定し、「税抜経理」を採用している場合には、税抜10,000円で判定します。

交際費として処理した場合、資本金の金額によって税務上、いくらまで経費として計上する事が出来るのか異なります。
具体的には下記3区分に分かれます。
①資本金1億円以下の中小企業…交際費800万円または接待飲食費の50%のいずれか大きい金額までを経費計上する事が出来ます。
②資本金1億円~100億円以下の大企業…接待飲食費の50%までを経費計上する事が出来ます。
③資本金100億円超の大企業…交際費を経費として計上する事は出来ません。

したがって、交際費の上限が5,000円から10,000円に変更されたことによって、資本金1億円以下の中小企業の場合には800万円までの枠をより多く使うことが出来る為、近年の物価高によって交際費を多く計上することになっていたとしても、1人当たり10,000円であれば会議費などへ計上し、交際費として多くの経費を計上する事が可能となります。

◆交際費による実務上の注意点
今回の税制改正による適用開始時期は前述したように、令和6年4月1日以降に発生した交際費が対象となります。
したがって、クレジットカードなどを利用している場合には、引落しが4月になっていても、実際に利用している日が3月であれば、1人当たりの金額判定は5,000円となるので注意が必要です。
また、今年はインボイス制度が令和6年10月より導入されました。
その為、10月以降については領収証などにインボイス登録がされていることがわかる適格請求書発行事業者の登録番号が記載されていないと税額控除の適用を受ける事が出来ない点も併せて認識しておく必要があります。

◆まとめ
今回の交際費の上限がされたのは、近年の物価高による影響が考えられます。一人当たり5,000円から10,000円の判定は、令和6年4月からなので、4月を境に交際費にどういった内容の支払いが計上されているのか改めてご確認することをお勧め致します。
ご不明な点がございましたら、弊所へお気軽にお問い合わせくださいませ。

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