役員借入金の債務免除で見落としがちな「みなし贈与リスク」を徹底解説!

◆ はじめに
前回の記事では、会社の欠損金を利用して、役員借入金の債務免除を行うことによる方法を解説しました。
役員借入金の債務免除は、繰越欠損金を活用した節税手法として有効ですが、一つ見落とすと思わぬ課税が生じるリスクがあります。
それがみなし贈与の問題です。
債務免除を行った役員本人には課税されないものの、他の株主が経済的利益を受けたとみなされ、贈与税が課税されるケースがあります。
中小企業の実務では見落とされがちなこの論点について、仕組みから対策まで丁寧に解説します。

◆ みなし贈与が発生するメカニズム
債務免除が行われると、会社の負債が減少し純資産が増加します。
その結果、会社の株価が上昇します。
この株価上昇の恩恵を受けるのは、債権放棄をした役員本人ではなく、他の株主です。

たとえば、社長が1,000万円の債権を放棄し、その結果として会社の株価が上昇した場合、社長以外の株主(たとえば配偶者や子)は何も対価を払わずに株式の価値増加という利益を得ることになります。
税法上、これは社長から他の株主への贈与があったとみなされ、贈与税の課税対象となるのです。根拠となる規定は相続税法第9条の「対価を受けないで利益を受けた場合」に該当します。

◆ リスクが高いケースと低いケース
みなし贈与リスクの大きさは、株主構成と株価の変動幅によって決まります。

リスクが高いケースとしては、
①社長以外に配偶者・子など親族が株主になっている
②非上場株式の評価額が債務免除によって大幅に上昇する
③免除金額が多額で一度に実行する
といった状況が挙げられます。

一方、リスクが低いケースとしては、
①社長が会社の株式を100%保有している(一人株主)
②会社の債務超過が解消されない範囲での免除にとどまる
③株価への影響が軽微である
といったケースです。
特に社長が100%株主の場合は、みなし贈与の相手方となる株主が存在しないため、このリスクはほぼ生じません。
自社の株主名簿を改めて確認することが、最初のステップです。

◆ 実務での回避策と事前対応
みなし贈与リスクを回避するための実務的な対策は主に3つあります。

① 株価への影響を事前試算する
債務免除の実行前に、免除後の株式評価額を税理士と一緒に試算します。
株価上昇幅が110万円(贈与税の基礎控除)以内に収まるよう、免除金額を調整する方法が有効です。
毎年少額ずつ分割免除することで、株価上昇を年単位でコントロールできます。

② 親族株主への株式集約を検討する
債務免除の前に、親族が保有する株式を社長に集約しておくことで、みなし贈与の発生そのものを防ぐことができます。
ただし、株式移転にも別途課税リスクが伴うため、順序と方法を慎重に設計する必要があります。

③ 専門家による事前確認を徹底する
みなし贈与は税務調査で指摘されやすい論点です。
実行前に税理士へ相談し、株価計算書の作成と保存を必ず行っておきましょう。

◆ まとめ
役員借入金の債務免除は有効な節税手法である一方、みなし贈与リスクを無視して実行すると、節税どころか予期せぬ贈与税負担を招く可能性があります。
特に家族が株主に名を連ねている中小企業では、このリスクは決して他人事ではありません。
節税効果を最大限に享受するためにも、必ず事前に株主構成と株価への影響を確認し、専門家と連携したうえで慎重に実行されることを強くお勧めします。
ご不明な点がございましたら是非弊所までご相談下さい。

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