令和9年4月から飲食料品の消費税率が1%に?事業者が押さえておきたい改正案と実務上の注意点

◆はじめに
令和8年9月15日に閣議決定された「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」では、飲食料品に係る消費税率を2年間引き下げる方針が示されました。
具体的には、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を国税・地方消費税の合計で8%から1%に引き下げる内容です。
ただし、令和8年9月時点の国税庁パンフレットは、今後、法案が国会に提出され、審議を経て可決・成立した場合の内容を説明したものです。
そのため、現時点では成立済みの制度として扱わず、今後の法令改正や国税庁からの公表情報を確認する必要があります。
本記事では、改正案の概要と、事業者が押さえておきたい実務上のポイントを解説します。

◆税率1%の対象となる飲食料品とは
税率1%の対象となるのは、対象期間中に販売される飲食料品と、飲食料品の保税地域からの引取りです。
飲食料品の範囲は、原則として現行の軽減税率8%の対象品目と同様で、食品表示法に規定する食品のうち酒類を除いたものとされています。
例えば、スーパーやコンビニで販売される食料品、テイクアウトの食品、出前・宅配などが対象となります。
一方、酒類や医薬品、医薬部外品などは対象外です。
また、同じ飲食料品でも、提供方法によって適用税率が異なります。
飲食店でテーブルや椅子などの飲食設備を利用して食事をする「外食」は、原則として標準税率10%の対象です。
テイクアウトや、単に飲食料品を届ける出前・宅配は、税率1%の対象となります。
なお、有料老人ホーム等で行う飲食料品の提供や学校給食など、一定の要件を満たすものについては、ケータリング等であっても税率1%の対象となる場合があります。
適用税率は、原則として事業者が飲食料品を提供する時点で判定します。
イートインとテイクアウトの区分についても、提供時に顧客の意思を確認するなど、営業実態に応じて適切に判断することが重要です。

◆インボイスや帳簿の記載はどう変わる?
改正案では、飲食料品の販売に係るインボイスには、適用税率1%と、それに対応する消費税額等を記載することになります。
一方、インボイスや帳簿について、税率引下げに伴いすべての記載事項が変更されるわけではありません。
例えば、インボイスにおける取引内容の記載については、現行の「軽減税率の対象品目である旨」に代えて、「税率1%の対象品目である旨」を新たに記載する必要はないとされています。
ただし、税率ごとに区分した対価の額や消費税額等を適切に記載・集計する必要があるため、レジや会計ソフト、請求書発行システムなどについては、税率変更に対応できるか事前に確認しておきましょう。
また、令和9年4月1日以後に返品や貸倒れが発生した場合でも、税率引下げ前に税率8%で販売した飲食料品については、原則として税率8%により調整計算を行います。
取引日や適用税率を正確に管理できるよう、社内の経理処理を整備することが大切です。

◆免税事業者・簡易課税事業者への特例
今回の改正案では、飲食料品を販売する事業者について、消費税の申告方法に関する特例も示されています。
まず、免税事業者が課税事業者になる場合、通常は課税事業者選択届出書を事前に提出する必要があります。
しかし、改正案では、飲食料品を販売する免税事業者が、令和9年4月1日の属する課税期間中に所定の届出書を提出することで、その課税期間から課税事業者となることができる特例が設けられています。
飲食料品の売上げに係る税額が1%となる一方、仕入れや設備投資などに係る税額が大きい場合、一般課税(本則課税)による申告で消費税の還付を受けられる可能性があります。
ただし、還付の可否は仕入税額控除の要件や取引内容などによって異なるため、事前の試算が重要です。
また、簡易課税制度を適用している飲食料品販売事業者についても、所定の届出書を課税期間中に提出することで、その課税期間から一般課税へ変更できる特例が示されています。
さらに、対象となる課税期間については、簡易課税制度の2年間の継続適用要件が適用されないとされています。
これらの特例を利用するかどうかは、売上構成や仕入れの状況、設備投資の予定などを踏まえて慎重に検討しましょう。

◆まとめ
令和9年4月からの飲食料品の消費税率1%への引下げは、食品を取り扱う小売業や飲食業などに大きな影響を与える可能性があります。
事業者は、対象品目と適用税率の判定、インボイスや帳簿の記載、レジ・会計システムの改修、免税事業者や簡易課税事業者に関する特例の活用などを確認しておくことが重要です。
なお、本記事の内容は令和8年9月公表の国税庁パンフレットに記載された改正案に基づいています。
制度の適用に当たっては、今後の法案の成立状況や国税庁の最新情報を確認したうえで、適切に対応する必要があります。
ご不明な点がございましたら、是非弊所へご相談下さい。

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