法人設立時の重要な決定の一つが決算日の設定です。この決算日は、会社の財務状況を評価し、税務上の義務を果たすための基準点となります。しかし、決算日を選ぶ際にはいくつかの要素を考慮する必要があります。これには、業界の特性、税務上の利点、および経営上の戦略が含まれます。この記事では、決算日を決める際の考慮点と、選択に影響を及ぼす可能性のある要因について詳しく解説し、法人設立や経営戦略を計画する際の一助となる情報を提供します。

法人の決算日を決める際に気を付けること

法人とは異なり、個人事業主の決算日は確定申告の対象期間と重なるため、12月31日を決算日とするよう定められています。一方、法人の場合は決算日の制約がありません。年末や年度末にこだわらず会社都合に合わせて決算日を設定できます。

また、年に2回以上の決算日も設定できますが、それだけ決算処理も増えてしまうため、通常は決算は1年に1回とするのが一般的です。

法人の決算日を決める際に気を付けることとしては、まずは会社の繁忙期を避けることが重要です。会社の繁忙期と決算日が重なると、業務や決算処理に支障をきたしてしまいます。そのため、なるべく会社の繁忙期ではない時期に決算日を設定することをお勧めします。

また、税理士や会計士の繁忙期とも重ならないよう決算日を設定するのも良いでしょう。一般的には3月決算の会社は非常に多いため、4月〜5月頃に税理士や会計士は繁忙期を迎えます。税理士や会計士の繁忙期に決算日を設定すると、会計監査や決算資料の確認が不十分になる可能性も考えられます。そのため、その時期を避けた方がより正確で適切な決算対応を行ってもらえる可能性が高まります。

その他、消費税の免税期間なども考慮する必要があるため、決算日の設定については税理士に都度確認をするべきです。

参考：

決算期月別法人数｜国税庁

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/hojin1997/11.htm

消費税納税義務の免除｜国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm

会社の決算日を変更するためには？

一度決めた会社の決算日も手続きを行うことで変更をすることは可能です。必要な手続きとしては、株主総会の特別決議で承認を得る必要があります。決算日の変更は定款の変更も伴うため、株主総会の特別決議が必要です。発行株式の過半数を有する株主が出席して臨時株主総会を開催し、2/3以上の賛成があれば決算日の変更が認められます。

登記事項ではないため、法務局での登記申請も必要ありませんが、定款の変更は必須です。株主総会議事録の作成とともに、定款への反映を行います。

また、管轄税務署や市役所等へ異動届出書の提出と定款変更の決議をした株主総会議事録のコピーを提出する必要があります。また、必要に応じて主要取引先や金融機関にも連絡を行う必要もあります。許認可事業を行っている場合は、該当する省庁に届出を提出する必要もありますので、要確認が必要です。

参考：

国税庁　移動届出書

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/005-1.pdf

まとめ

法人の決算日を決定する際は、税務面、業務面などの要素を総合的に考慮することが不可欠です。税金の計算に影響を与えるため、適切な時期に決算日を設定することで税負担を最適化できる可能性があり、また会計業務と他の業務とのバランスを取ること、業種による業務の周期に合わせた戦略に基づく決算日の決定も重要です。

これらの要因を考慮することで、企業は税務や会計の効率を最大化し、戦略的な目標を達成するための基盤を築くことができます。鈴木健志税理士事務所では最適な決算日を決定するアドバイス等も行っておりますのでお気軽にご相談ください。

免責事項

※当コラム内容は記事執筆時点の法令に基づいて作成しております。

※当コラムでは正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を必ずしも保証するものではありません。

※当コラムに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。